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千葉西クリニックでは、通院が困難な患者様のもとへ医師・看護師が訪問し、日々の療養生活を支える訪問診療に取り組んでいます。訪問診療を行ううえで大切にしていること、患者様との関わり、院内の雰囲気、そしてこれから一緒に働きたい医師像について、荒川理事長に話を伺いました。

─先生が訪問診療に携わることになったきっかけを教えてください。
もともと「訪問診療をやりたい」と強く考えていたわけではありませんでした。父が少し訪問診療に携わっていたこともあり、そういう医療の形があること自体は以前から知っていました。
僕自身はそれまで腎臓内科の専門医として外来診療を行っていましたが、実際には腎臓だけを診るというよりも、一般内科に近い診療も多かったんです。患者さんとお話をしながら、「最近はどうですか」と生活の様子について伺うことも多くありました。
大学病院を離れることを考え始めた頃に訪問診療という選択肢があり、改めて考えてみると、それまで自分が行ってきた診療とそれほど大きな違いはないと感じたんです。
それなら、新しい環境で訪問診療に取り組んでみようと思ったのが始まりでした。大きく方向転換したというよりも、これまでの診療の延長だったのです。
―実際に訪問診療を始めてみて、印象に残っていることはありますか。
患者様が皆さんとても温かいですね。優しい方も多いですし、いろいろな世間話もしてくださいます。僕自身、患者さんとお話をしている時間が楽しいと感じています。
―外来診療とは、患者さまとの距離感にも違いがありますか。
あると思います。
少し大げさかもしれませんが、親戚が来たような、近所の友人が訪ねてきたような感覚に近いのかもしれません。患者様にとっても、僕たちが訪問する時間が、人と話をする機会の一つになっていることがあります。「もう少し話していってよ」と声を掛けていただくこともありますね。訪問診療では、診察や処方だけでなく、患者さまがどのような生活を送っているのかを知ることも重要です。
食事や睡眠、日常生活の変化、ご家族様との関係など、診察室だけでは把握しにくい情報も、日々の会話の中から見えてくることがあります。患者様の生活の場へ伺うからこそ、その方自身をより深く理解しながら診療できることも、訪問診療の特徴の一つです。
―お看取りを経験されることもありますか。
あります。
訪問診療には、最後までご自宅で過ごしたいという方を支える役割もあります。「最後まで家にいられてよかったね」と思えるケースもあります。
住み慣れた自宅で家族とともに過ごしたい。
その希望を叶えるためには、患者様本人だけでなく、ご家族や医療・介護に関わる多くの職種との連携が欠かせません。
病気そのものだけではなく、「どこで、どのように過ごしたいのか」という患者様の意思に寄り添うことも、在宅医療における重要な役割です。

訪問診療を紹介する際、患者様から「優しい先生がいい」と希望されることも多いといいます。
―先生にとって「優しい医師」とは、どのような医師でしょうか。
難しいですね。自分で言うのも少し恥ずかしいですが、患者様の話をきちんと聞くことは意識しているかもしれません。やはり、きちんと話をすることは大切だと思います。医師としての知識や技術はもちろん重要です。一方、訪問診療では患者様やご家族様との信頼関係も欠かせません。
「話を聞いてもらえた」
「相談しやすかった」
「この先生なら安心できる」
そう感じていただける関係を少しずつ築いていくことが、在宅での療養生活を支える安心にもつながります。

―訪問診療に携わるようになって、大変だったことはありますか。
大変だと思ったことですか。……今のところ、あまりないですね!分からないことがあれば周囲に聞けますし、スタッフも皆さん親切です
―実際に始めてみて、いかがでしたか。
思っていた以上に、訪問診療は充実しています。
大学病院にいた頃は、どうしても時間に追われながら診療することが多かったので、今は以前より少し余裕を持って患者様と向き合えていると思います。
診察そのものはもちろんですが、患者様といろいろな話をしたり、スタッフと「患者様の様子はどうですか」と情報を共有したり、そういう時間も含めて充実しています。今の働き方は、自分には合っていると感じています。
千葉西クリニックでは現在、医師の採用にも力を入れています。
―どのような医師と一緒に働きたいとお考えですか。
やはり、コミュニケーションをしっかり取れる方ですね。それから、明るい方。経験や専門性よりも、まず人柄を重視しています。訪問診療では、医師だけでなく、看護師、医療事務、ケアマネジャー、訪問看護師など、多くの職種と連携します。
患者様やご家族様とのコミュニケーションはもちろん、医療チームの一員として周囲と情報を共有し、協力していく姿勢が欠かせません。

─インタビューの中で、荒川先生から印象的な言葉がありました。
仕事だからやる、というよりも、医療そのものが好きな人がいいですね。少し極端な言い方をすると、「趣味で医者をやっている」くらいの人というか(笑)。
僕自身も、どちらかというとそういうところがあります。言葉だけを見ると少しユニークですが、そこには、「仕事だから仕方なく患者さんと向き合う」のではなく、医療や人との関わりそのものに関心を持てる方と働きたい、という思いがあります。
日々の診療を前向きに捉え、患者さまとの関わりを大切にできる。
そうした姿勢を持つ医師を、千葉西クリニックでは歓迎しています。
―医師としての経験以外で、大切だと思うことはありますか。
柔軟さはとても大切だと思っています。訪問診療では、医師だけで患者様を支えるわけではありません。看護師だからこそ気付けることもありますし、医療事務だから把握していること、ケアマネジャーや訪問看護師だから分かる生活上の変化もあります。
だからこそ、自分の考えだけが正しいと思うのではなく、周囲の意見をきちんと聞けることが大切だと思います。専門性を持つことはもちろん必要ですが、それだけにこだわらず、状況に応じて柔軟に考えながら、周囲のスタッフと協力して患者様に向き合える方と一緒に働きたいですね。
─1日の診療の流れを教えてください。
千葉西クリニックでは、施設と個人宅の双方へ訪問しています。日によって異なりますが、午前に1施設、午後に2施設を訪問することもあれば、午前中に個人宅を6件ほど回る日もあります。訪問スケジュールについても、患者さまの状況に応じてスタッフ同士で相談しながら調整しています。
みんなで「こうした方がいいんじゃないか」と話しながら決めています。また、夜間についてはコールセンターとも連携しています。
─最後に、これから千葉西クリニックの目指す形を教えてください。
この1年間で特に力を入れてきたのは、地域とのつながりをつくることです。
病院の連携会に参加したり、ケアマネジャーさんのところへ伺ったりしながら、まずは地域の方に「千葉西クリニックという訪問診療のクリニックがある」と知っていただくことを意識してきました。
将来的には、病院などで訪問診療が必要な患者様がいらっしゃったときに、「それなら千葉西クリニックだね」と自然に名前を挙げていただけるような存在になれたら理想ですね。そのためにも、患者様との会話を大切にすること、スタッフ同士で職種を越えてきちんと情報共有すること、そして地域の医療・介護に関わる方々とのつながりを築いていくことを、これからも大切にしていきたいと思っています。
一つひとつは特別なことではないかもしれませんが、そうした日々の積み重ねが、患者様やご家族に安心して頼っていただけるクリニックにつながっていくと思います。
これからも、地域の中で身近に頼っていただける訪問診療クリニックを目指していきたいですね。
千葉西クリニック 理事長 荒川 裕輔


